貝塚まちなかアートミュージアム2014 (大阪府貝塚市)
11/21~11/30
穏やかな、煩わしさの世界に
The world is suffering mildly
ゆっくりと積み上げられた歴史の層の上に今を生き、住まう事にどこか不安な中空感を感じてしまうのは何故だろう。
わたしたちは利便性を、快適さを求め続け、その代償に様々な見えない分断や遮断を受け入れて来たようだ。
溢れる程の情報=物質の中で、一体どれだけ肝心な事に近づけているのだろうか。
ここ、石橋牛乳店の納屋には物で出来た踏み込めない程の、巨大な層が有った。
何世代にもわたる年月を重ねた、目に見えるリアルな生活の層である。
今回、わたしは外からの視点でこの層に踏み入り、再構成を試みる機会を得た。
軽トラック15台分の、役目を終えたものたちが運び出され、納屋はひとたび空っぽになる。
物の月日の重ねを取払い、組み替えられてそれらは、不織布の壁の中にぐるりと納まる。
隙間から垣間見える像が何を語るのか、それらが偽物か、現実かどうかも判断しがたい。
わたしたちはこのような、穏やかな遮りの中で、ただ一角の情報を頼りに世界を生きているのかも知れない。
穏やかな、煩わしさの世界に。
不織布、照明、納屋の品物、プロジェクターによる隈無く流れる水間の水路の映像、その水音とともに。
日の目を見なかった贈答品を「石橋ギャラリー」として陳列、番外編。
extra compilation [ISHIBASHI Gallery]
Greatly thanks to Ishibashi milk shop !