2006
抜殻のちから
「抜殻」とは、不在のオブジェのようなもの。
かつて存在した命や、諸々の痕跡を懐に、無言で無欲な落下運動を試みる。
あてもないその行動を、死の活気と呼べば後ろ向き過ぎるだろうか。
始まりの予感を原動力に、けして始動する事のない最終装置だ。
抜殻たちの発する兆しに、時折我を忘れてしまう。
砂漠の蜃気楼のようにいつまでもたどり着けない、手の届かない、そんな
ものだからこそ惹き付けられるのかも知れない。
それも「ちから」なのだろうか。
撮影:成田宏紀